アメリカでワーホリができない理由と代わりの制度で働く方法を解説
更新日:2026年9月10日
目次
このページのまとめ
- アメリカは協定国ではないため、ワーホリ(ワーキングホリデー)はできない
- アメリカでワーホリができない主な理由は、違法移民の防止や国の安全保障のため
- アメリカはワーホリができないが、ほかの手段をとれば同様の体験が可能
- アメリカでワーホリのように働くための方法には、J-1ビザなどがある
「アメリカでワーホリはできる?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
アメリカはワーキング・ホリデー制度の対象外ですが、ほかのビザを活用すればワーホリのように働くことが可能です。
本記事では、J-1ビザをはじめとするアメリカでワーホリのように働くための方法を解説。対象要件や注意点を紹介するので参考にしてください。また、アメリカでワーホリができない理由やワーホリ可能な英語圏の国も紹介します。
アメリカは、世界中から多くの人々が訪れる人気の留学先・就業先です。しかし、日本とアメリカの間には「ワーキング・ホリデー(ワーホリ)」の協定が結ばれていません。そのため、オーストラリアやカナダのように「休暇を楽しみながら現地で自由に就労して生活費を稼ぐ」という目的でアメリカに長期滞在することは、制度上不可能となっています。
アメリカで働いて生活するという夢を叶えるためには、ワーホリに代わる別のビザ制度を正しく理解し、個人の目的に合わせた就労プランや渡航方法を模索する必要があります。
アメリカで働きたいとお考えの方は、「アメリカで働くにはどのような方法がある?就職の手順や役立つ資格を紹介」の記事もご覧ください。
アメリカにワーキング・ホリデー制度が存在しないのには、国家の安全および国内労働市場を守るための厳格な移民政策や歴史的背景が深く関係しています。
ここでは、アメリカ政府がワーホリに対してなぜこのような慎重な方針をとっているのか、その背景にある主な要因を「違法移民」「ビザの性質」「安全保障」という3つの重要な観点から詳しく紐解いていきます。
違法移民への懸念と移民抑制方針
アメリカでのワーホリがない理由には、違法移民への懸念と移民抑制方針があります。
アメリカは長年にわたって国境を越えて不法に流入・滞在して就労する「違法移民」の問題に直面しており、自国民の雇用機会や国内の治安を守るために移民数を厳格に抑制・管理しています。
このような環境において、簡単な手続きで誰もが手軽に就労と長期滞在の権利を得られるワーホリのようなビザを導入することは、違法滞在者や不法就労をさらに増加させるリスクを高めてしまいます。そのため、アメリカ政府は移民や労働目的の入国者に対して厳しい発給要件を課し、不法滞在を防ぐための管理体制を崩さないようにしているのです。
個人で取得できる就労ビザの不在
アメリカでのワーホリがない理由の一つは、個人で取得可能な就労ビザがないことです。
多くのワーホリ協定国では、申請者個人の意思だけでビザを取得して渡航できますが、アメリカにはそのような「個人だけで取得し、現地で自由に働ける就労ビザ」自体が存在しません。
アメリカで合法的に就労するためには、必ず現地での「受け入れ先企業(雇用主)」や「認可されたプログラムスポンサー」を確保する必要があります。ビザの申請手続きは、この受け入れ組織が主体(スポンサー)となって進めることが前提となるため、個人の都合だけで気軽に就労目的のビザを手に入れることは困難な仕組みになっています。
同時多発テロ以降のセキュリティ強化
アメリカでのワーホリがない理由には、同時多発テロ以降にセキュリティが強化されたことが挙げられます。
2001年に発生した米国同時多発テロ事件は、アメリカの国家安全保障と入国管理のあり方を劇的に変化させました。テロの実行犯の一部が学生ビザ等の非移民ビザを悪用して入国していた事実を受け、事件以降、政府はすべてのビザ申請手続き、入国審査、さらには滞在中の外国人に対する監視体制を強化しました。特に学生や交流訪問者の動向を追跡するシステム「SEVIS」が導入され、厳格な監視が行われています。
このように、テロ対策を最優先とする徹底した安全管理姿勢が、自由度の高いワーホリ制度の導入を阻んでいる一因です。
アメリカでのワーホリはできませんが、海外で「語学を学びながら働いて暮らす」という体験を希望する若者に向けて、日本は複数の主要な英語圏の国々と魅力的なワーホリ協定を結んでいます。
将来的にアメリカで働くためのステップアップとしても活用できる、代表的な英語圏のワーホリ先はカナダ・オーストラリア・イギリス・アイルランドです(2026年4月1日時点の情報)。
カナダ
カナダのワーホリを目的としたビザ年間発給枠は6,283名で、美しい英語を学べる治安の良い環境が人気です。制度の改訂により一生涯に最大2回(合計2年間)まで参加できるようになり、長期的な現地就労とキャリア形成のプランが立てやすくなりました。
オーストラリア
オーストラリアのワーホリのためのビザ年間発給数には上限がなく、広大な大自然と高い給料水準(出稼ぎを含めた高い求人需要)が魅力の定番国です。英語初心者でも比較的仕事を見つけやすい環境が整っています。
イギリス
イギリスのワーホリビザの年間発給枠は6,000名に大幅拡大され、最長2年間の滞在が許可されています。就労職種や就業時間に制限がほとんどなく、現地企業での本格的なビジネス経験を積むのに適した国です。
アイルランド
アイルランドのワーホリ制度は2007年に開始され、年間発給枠は800名です。原則18〜25歳(当局の合意により30歳まで)が対象です。ヨーロッパの英語圏に滞在し、現地で働きながら生活を体験できる魅力的な選択肢です。
参照元:外務省-ワーキング・ホリデー制度
アメリカにワーキングホリデー制度は存在しないものの、日本人が現地で合法的に働いたり、ビジネス実務の経験を積んだりするための代替ルートは複数存在します。
アメリカでワーホリ以外で働くための主なビザは、「J-1ビザ」「非移民就労ビザ」「多様性移民ビザ」の3種類です。
それぞれのビザには明確な目的や厳格な審査基準があり、自身のキャリア・学歴・経験年数および今後の就職プランに合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
ここでは、日本人にとって現実的な手段となる3つの就労・滞在方法とその詳細について解説します。
J-1ビザ(交流訪問者プログラム/BridgeUSA)
教育、学術、職業トレーニングなどの国際的な人材交流を促進するための「J-1ビザ(交流訪問者プログラム/BridgeUSA)」は、アメリカの企業でインターンシップを経験したい日本人にとって現実的で人気のある手段です。
アメリカ政府公認のスポンサー団体から承認を受け、現地の求人企業にマッチングされることで、最大1年〜1年半のアメリカ滞在と就労が許可されます。大学生だけでなく、社会人経験の浅い第二新卒者などがアメリカの高度なビジネスカルチャーを現地で体験し、将来的な本格就労に向けた実力を養うのにも適したステップです。
参照元:米国国務省領事局-交流訪問者ビザ
非移民就労ビザ(日系企業の駐在や専門職)
アメリカで中長期的なキャリアを確立し、本格的にビジネスを行いたい場合は、現地法人での直接採用や、日本からの出向・転勤を経て獲得する「非移民就労ビザ」を目指します。
非移民就労ビザには職種や役割に応じて以下のような種類があり、企業の強力なサポートのもとで申請を行います。
E-1/E-2ビザ(貿易・投資駐在員)
E-1/E-2ビザは、日本と多額の貿易を行う日系企業や、アメリカに大規模な出資を行っている現地の法人に赴任する駐在員や管理職が主に対象となります。
L-1ビザ(同系列企業内転勤者)
L-1ビザは、日本国内の本社や関連会社に1年以上継続して勤務した実務実績を持つ人が、アメリカの支店や子会社へ出向・異動する際に使われます。
H-1Bビザ(短期就労専門家)
H-1Bビザは、大学卒業以上の学位を保持し、ITや金融、エンジニアリングなどの高度専門分野の職種で現地採用されて働くプロフェッショナル向けのビザです。
O-1ビザ(卓越した能力者)
O-1ビザは、科学、教育、ビジネス、芸術、スポーツなどの特定の分野において、国内または国際的に極めて高い評価や優れた実績を残している人に発給されます。
参照元:米国市民権・移民局(USCIS)-Temporary (Nonimmigrant) Workers
多様性移民ビザ(DVプログラム/グリーンカード抽選)
アメリカ政府が毎年公式に実施している「多様性移民ビザ(DVプログラム)」は、抽選によって永住権(グリーンカード)を直接獲得できる貴重な制度です。
移民の割合が歴史的に低い国の国籍者を対象としており、日本国籍者であればオンラインから応募登録できます。
基本要件として「高校卒業以上の学歴」または「過去5年以内に特定の専門職種で2年以上の実務経験」を満たしていれば、誰でも申請可能です。抽選のため運要素はありますが、ビザのスポンサー企業を自力で探す必要がないため、アメリカで長期間自由に働きたい方は毎年応募しておく価値があります。
アメリカで働くための就労ビザについては、「アメリカで働くのに必要な就労ビザは?取得の手順と申請時の注意点も解説」の記事で詳しく解説しているのであわせて参考にしてください。
参照元:
Travel.State.Gov-Diversity Visa Instructions
Travel.State.Gov-INSTRUCTIONS FOR THE 2026 DIVERSITY IMMIGRANT VISA PROGRAM (DV-2026)
アメリカで合法的に働きながら滞在する手段として、ワーキングホリデーに近い体験を実現できるのが「J-1(交流訪問者)ビザ」です。J-1ビザは、単に現地で語学を学ぶだけでなく、アメリカの企業文化に身を置きながら、実践的な実務経験を積むことを可能にします。
J-1ビザの中には、主に在学生や第二新卒を対象とした「インターン(Intern)」プログラムと、すでに一定の実務経験を持つ社会人を対象とした「トレーニー(Trainee)」プログラムの2つのカテゴリーが用意されています。
どちらのプログラムも有給でのフルタイムトレーニングが認められています。ワーホリがないアメリカにおいて、若い世代や若手プロフェッショナルが現地でキャリアを築き、生活を体験するためのゲートウェイとして高く評価されています。
J-1ビザの概要と目的
J-1ビザは、アメリカ政府が主導する国際交流イニシアチブである「BridgeUSA(交流訪問者プログラム)」に基づき、教育・芸術・科学などの分野で人材や知識の国境を越えた相互交流を活発に促進することを目的に制定されました。
J-1ビザの特徴的な点は、単なる労働目的の就労ビザではなく、参加者がアメリカの卓越した技術やビジネスカルチャーに直接触れ、学びを深めることを理念としている点にあります。
J-1ビザの申請を進めるためには、まずはアメリカ政府が公認した民間スポンサー団体による厳格な審査と承認を受けることが必要です。承認が得られると、受入れ証明となる公式書類「DS-2019(資格証明書)」が発行され、これがアメリカで活動するための法的な基盤となります。
インターンプログラムの主な要件と制限
J-1ビザでアメリカに渡航する際は、自身の学歴やキャリアに合ったプログラムを正確に選択する必要があります。また、実務的なトレーニングを重視する仕組み上、活動中の業務内容には厳しい制限が設けられています。
インターン(Intern)の対象要件
インターン(Intern)のプログラムは、アメリカ国外の大学や専門学校などの高等教育機関に在籍中の学生、または卒業後12ヶ月以内の方のみが対象となります。学業で学んだ知識をすぐに実社会の実務体験に結びつけるためのルールです。
トレーニー(Trainee)の対象要件
トレーニー(Trainee)のプログラムは、専門分野の学位に加え、アメリカ国外での1年以上の実務経験を持つ方、または学位がなくとも対象分野で5年以上の国外実務実績を持つ社会人が対象となります。すでに社会人としての経験を持つプロフェッショナルを対象としています。
実務上の制限
J-1ビザのインターンプログラムでは、単純労働や患者に触れる医療、介護等の業務は禁止されており、一般事務の割合も20%以下に制限されます。これらは研修生の権利を保護し、正規雇用の安易な代行を防ぐためです。
アメリカでのインターンシップを検討している場合は、「アメリカでインターンシップ獲得を成功させる方法や探し方を解説」の記事もご覧ください。
滞在期間と在留期間延長のルール
J-1ビザによる滞在期間はプログラムごとに異なり、インターンは最長12ヶ月、トレーニーは最長18ヶ月と規定されています。アメリカへの渡航にあたっては、書類に記載されたプログラム開始日の30日前から入国が可能で、終了後も30日間の出国準備期間が与えられます。
また、以前適用されていた無期限の「在留資格期間(D/S)」に代わり、現在は特定の終了日が定められた「固定在留期間」の制度が導入されています。
そのため、渡航後に滞在を延長したい場合は、プログラムの総期間を最大4年として、アメリカ市民権・移民局(USCIS)へ直接「在留期間延長(EOS)」を申請し、公式な許可を得なければなりません。期日に遅れずに手続きを完了できるよう、計画的なスケジュール管理が求められます。
J-1ビザを利用する際の注意点
J-1ビザは魅力的な制度ですが、将来のキャリアプランに大きな影響を与える厳格なルールが存在するため、事前の十分な確認が欠かせません。
以下は、J-1ビザを利用する際の注意点です。
2年間の本国居住要件
政府から資金提供を受けた者や医師などは、プログラム終了後に母国へ戻り、最低2年間は日本で暮らさなければ次の就労ビザや移民ビザ(HやLなど)を申請できないルールがあります。
将来の滞在設計に関わるため、注意が必要です。
同行家族の就労制限
配偶者や子供が対象となる「J-2ビザ」は、米国移民局(USCIS)から個別に労働許可証(EAD)を取得するまで一切就労できません。
これは世帯の経済的基盤の維持と、現地の不要な労働市場の混乱を防ぐための規制です。
虚偽申請の厳しい罰則
経歴や書類に嘘や偽りがあると発覚した場合は、ビザが不発給となります。そのうえ、今後のアメリカ渡航資格を永久に失う非常に重いペナルティが課されます。
参照元:
米国国務省領事局-交流訪問者ビザ
米国国務省領事局-Programs | Intern
米国国務省領事局-Programs | Trainee
アメリカにはワーホリ制度がありませんが、だからといって「アメリカで働き、暮らす」という夢を諦める必要はありません。語学力を活かしながら現地の最先端ビジネスに触れる方法として、今回解説したJ-1ビザや、駐在員・専門職向けの非移民就労ビザ、さらには永住権の抽選プログラムなど、挑戦できるルートは豊富に用意されています。
大切なのは、自分がアメリカでどのようなキャリアを描きたいのかを定め、各ビザの基準を満たすための具体的な準備をスタートすることです。まずはビザ獲得に向けた情報収集や英語力アップ、経歴の棚卸しといった最初の一歩を踏み出してみましょう。
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