アメリカの年金を日本で受け取る際の受給資格や申請方法を解説
Date Updated:2026年8月18日
目次
- アメリカの年金制度の仕組み
- アメリカの年金は日本でも受け取り可能
- 日米社会保障協定とは
- アメリカの年金の受給資格
- アメリカの年金の受給額
- アメリカの年金を日本で受け取るための申請方法
- アメリカの年金を日本で受給する際の注意点
- まとめ
このページのまとめ
- アメリカの年金は、日米社会保障協定によって円滑に受給手続きが進められる
- アメリカの年金は、日本の年金事務所もしくは年金相談センター窓口から申請可能
- アメリカの年金は、最短で62歳から早期受給できる
- アメリカの年金を日本で受け取るためには、少なくとも1年6ヶ月以上の加入実績が必要
- 日本の年金加入期間を合計して10年以上になれば、アメリカの年金受給資格が得られる
「アメリカで働いていた分の年金は、日本で受け取ることができる?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。 アメリカの年金は、年齢と加入期間の条件を満たしていれば日本でも受給申請が可能です。
本記事では、アメリカの年金の受給資格や受け取れる金額、日本から申請するときの方法、注意点などを解説します。また、アメリカの年金制度の仕組みや日米社会保障協定の概要についても解説するので参考にしてください。
アメリカの公的年金制度は働く人々の老後を支える基盤として設計されており、現役世代が支払う社会保障税を高齢者などへ支給する仕組みです。
アメリカの公的年金制度は「OASDI(Old-Age, Survivors, and Disability Insurance)」と呼ばれています。 アメリカの年金の種類は、老齢年金(退職年金)・遺族年金・障害年金です。将来的に多くの人が受給対象となるのが老齢年金です。
| アメリカの年金の種類 | 概要 | 受給対象 |
| 老齢年金(退職年金) | 生涯の収入実績に基づいて計算される、月々の年金 | ・62歳以上である ・10年以上働いてアメリカの社会保障税を納めている |
| 遺族年金 | 亡くなる前に働き、社会保障税を納めていた方の特定の家族に対して毎月支払われる年金
(※死亡一時金が含まれる場合もあります) | ・亡くなった方の配偶者や元配偶者 (※原則として60歳以上) (※障害がある場合は50歳以上)) ・亡くなった方の子供 ・亡くなった方の扶養されていた親 など |
| 障害年金 | 障害を持つ方に対して毎月支払われる年金 | ・障害があり、これまでに十分な就労履歴がある ・失明しており、これまでに十分な就労履歴がある |
アメリカで就労して給与を得る際、社会保障税を納めることで「クレジット」と呼ばれる単位を獲得していきます。このクレジットの蓄積が、将来の年金受給資格の基礎となります。 給与から天引きされる形で税金を納めるため、長期間しっかりと働き続けることが、老後の安定した収入を確保するうえで重要です。
参照元: アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-Benefit types アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-Retirement Benefits
アメリカで働き、アメリカでの年金加入歴がある場合、日本へ帰国したからといってこれまでの支払いが無駄になるわけではありません。原則として、日本に住んでいてもアメリカの老齢年金を受け取ることが可能です。
アメリカ政府は一部の特定の国への年金送金を制限していますが、日本はその制限リストに含まれていないため、帰国後も問題なく受給できます。 また、社会保障に関する日米協定が結ばれているため、日本国内からでもスムーズに申請手続きを進められる環境が整っています。
参照元: アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-Retirement Benefits 在シカゴ日本国総領事館-アメリカ合衆国と日本の年金制度の両方に加入した期間を持っていませんか? 日本年金機構-協定相手国の年金申請の方法
日米社会保障協定(日米年金協定)とは、日本とアメリカの間で年金の保険料の支払い・受給を円滑に進められるようにするために結ばれた協定です。 日米社会保障協定により、「保険料の二重払いの防止」「年金加入期間の通算」「手続きにおける協力」「言語に関する柔軟な対応」が約束されています。
保険料の二重払いの防止
日米社会保障協定によって、保険料の二重払いが防止されています。 原則として、被雇用者または自営業者に適用される法令は、就労している国の法令のみです。
ただし、企業から相手国へ派遣される駐在員などについては、以下の特例が設けられています。
| 該当するケース | 特例の内容 |
| 派遣期間が5年以内の場合 | 派遣期間が5年以内と見込まれる場合、派遣元(自国)の社会保障制度のみに加入し、派遣先(相手国)の制度への加入が免除される |
| 派遣期間が5年を超える場合 | 派遣期間が5年を超える場合、原則として相手国の制度に加入することになるが、両国の所轄官庁や実施機関が合意すれば、引き続き派遣元の制度のみに加入する措置が認められる (※自営業者が一時的に相手国で働く場合も、同様のルールが適用される) |
年金加入期間の通算
日米社会保障協定によって、いずれか一方の国の年金制度への加入期間だけでは受給資格を満たさない場合においても、両国の加入期間を合算して受給資格を判定することが可能です。
アメリカの年金を受給する場合
アメリカの年金制度で最低6四半期(6クレジット=1年6ヶ月分)以上の加入期間があれば、要件を満たすために日本の年金加入期間を通算できます。この際、日本の加入期間3ヶ月につき、アメリカの1四半期(1クレジット)として換算されます。
日本の年金を受給する場合
日本の年金制度の受給資格を満たさない場合、アメリカの年金加入期間を通算することが可能です。アメリカでの加入期間は、日本の「厚生年金保険」および「国民年金の第2号被保険者」としての期間とみなして計算されます。
手続きにおける協力
日米社会保障協定により、 一方の国の機関に提出された年金申請書や不服申し立ては、もう一方の国の機関に提出されたものと同日に受け付けられたものとみなされ、遅滞なく相手国へ転送されます。 また、 両国の機関は、申請書や提出書類が相手国の言語で書かれていることを理由に、受理を拒否してはならないと規定されています。
言語に関する柔軟な対応
日米社会保障協定の対象となる人は、年金の受給権や支払いに関して、相手国の国民と同等の待遇を受けられることが保障されています。 単に相手国の領土外に住んでいることだけを理由に、年金の受給権を制限されたり、支払いを止められたりすることはありません。
参照元: 在日米国大使館と領事館-日米社会保障協定に基づく連邦年金申請 アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-U.S.-Japanese Social Security Agreement | International Programs
アメリカの老齢年金を受け取るためには、指定された年齢条件と、一定以上の加入期間を満たしている必要があります。
アメリカの年金の受給資格のそれぞれの詳細について確認していきましょう。
年齢の条件
アメリカの年金の受給資格の一つは、定められた年齢を迎えることです。 アメリカの年金は、通常どおり満額受給開始年齢(FRA)に受け取ることも、早めに受け取ることも可能です。
満額受給開始年齢(FRA)
満額受給開始年齢(FRA、Full Retirement Age)になれば、減額されることなく満額でアメリカの年金を受給することが可能です。
満額を受け取れるようになる年齢は、生年月日によって異なります。
| 老齢年金の受給対象者の生年月日 | 満額受給開始年齢(FRA) |
| 1943年1月2日~1955年1月1日 | 66歳 |
| 1955年1月2日~1956年1月1日 | 66歳2ヶ月 |
| 1956年1月2日~1957年1月1日 | 66歳4ヶ月 |
| 1957年1月2日~1958年1月1日 | 66歳6ヶ月 |
| 1958年1月2日~1959年1月1日 | 66歳8ヶ月 |
| 1959年1月2日~1960年1月1日 | 66歳10ヶ月 |
| 1960年1月2日以降 | 67歳 |
早期受給の開始年齢
アメリカの年金は、最短で62歳から年金の受け取りを開始できます。
ただし、早期受給を選んだ場合は本来もらえるはずの満額から減額されてしまいます。
加入期間の条件
アメリカの年金の受給資格を得るためのもう一つの条件は、アメリカの年金制度に加入していた期間(クレジット)です。 就労状況に応じて、以下の2つのケースが考えられます。
アメリカでの就労期間
アメリカ国内での就労のみで年金の受給資格を得るためには、まとまった期間の就労実績が求められます。 アメリカの年金を受け取るためには、原則として、アメリカで働いて社会保障税を納めた期間が10年以上(40クレジット分)必要です。
なお、もし10年に満たないまま仕事を辞めたとしても、それまでに獲得したクレジットは記録として残ります。後日アメリカでの就労を再開すれば、以前のクレジットに上乗せして計算されるため、将来の受給権獲得につながる可能性があります。
日米の期間を通算した期間
「アメリカで働いた期間が10年に満たないから年金はもらえない」と諦める必要はありません。日米の社会保障協定によって、条件をクリアできるケースがあります。
アメリカの年金制度に少なくとも1年6ヶ月(6クレジット)以上の加入実績があり、日本の年金加入期間と足し合わせて合計10年以上になれば、アメリカの年金を受給する権利を獲得できます。
参照元: アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-Benefit types アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-Retirement benefits アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-Retirement Benefits 在シカゴ日本国総領事館-アメリカ合衆国と日本の年金制度の両方に加入した期間を持っていませんか? 日本年金機構-米国年金申請|対象者別・必要書類早見表
実際に受け取れるアメリカの年金の金額は、働いていた期間の収入や受給を開始する年齢によって変動します。
アメリカの年金受給額の基本的な仕組み
アメリカの年金受給額は、現役時代にどれだけの収入を得て、どれだけ社会保障税を納めてきたかという「生涯の収入実績」をベースに計算されます。
基本的なルールとして、現役時代の平均給与が高ければ高いほど、リタイア後に受け取れる年金額も高くなります。 生涯の収入の平均で計算されるため、働いていない年があったり極端に収入が低かったりした年があると、全体の平均額が下がります。結果として、将来の年金受給額も少なくなってしまう点に注意が必要です。
なお、アメリカの年金は米国社会保障局(SSA)の「my Social Security」でアカウントを作成すると、現時点での実績にもとづいた将来の予想受給額を確認できます。
アメリカの平均年収については「アメリカの平均年収の推移や中央値を紹介!日本との差や支出事情も解説」の記事で解説しているので、気になる方はぜひチェックしてください。
早期受給による減額
アメリカの年金は最短62歳から受給を開始できますが、満額受給開始年齢(FRA)に到達する前に年金をもらい始めると、受給額が生涯にわたって一定の割合で減額されてしまいます。
アメリカの年金を早期受給すると、最大で約30%の減額があります。 たとえばFRAが67歳に設定されている方が、最短の62歳から受給をスタートした場合、本来もらえるはずの満額よりも約30%も低い金額を受け取り続けることになります。そのため、早期受給を選択する際は、慎重な資金計画が必要です。
受給開始の遅延による増額
アメリカの年金は、満額受給開始年齢(FRA)に達した後も年金を受け取らずに待つことで、受給額を増やすことが可能です。
FRAを過ぎても受給を開始せずに遅らせた場合、最大70歳に達するまで、1年遅らせるごとに年金額が8%ずつ上乗せされます。 アメリカの年金の受給開始を遅らせて増額された年金額は生涯続くため、長生きしたときのリスクに備え、よりゆとりのある老後生活を送りたい方にとって魅力的な選択肢となります。
参照元: アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-Retirement Benefits アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-What is full retirement age? | Frequently Asked Questions 日本年金機構-米国年金申請|対象者別・必要書類早見表
アメリカの年金を日本から申請する場合、わざわざアメリカに書類を送る必要はなく、日本の年金事務所および年金相談センター窓口を利用して手続きを進めることが可能です。
アメリカの老齢年金(退職年金)を日本国内で請求するために必要な書類は、下記のとおりです。
- 合衆国年金の請求申出書
- 米国年金申請に係る書類 Form SSA-21
- 戸籍謄本(※被保険者に配偶者や子がいる場合)
- 戸籍抄本または有効期限内のパスポートの写し(※被保険者のみの場合)
- 基礎年金番号通知書(年金手帳含む)または年金証書の写し
- 加入者番号を確認することができるものの写し(※共済組合員等の期間がある場合)
- Socail Security Cardなど、被保険者および配偶者の合衆国社会保障番号を確認することができる書類の写し
これらの必要書類を用意し、日本の年金事務所および年金相談センターの窓口に提出しましょう。
参照元: 在日米国大使館と領事館-日米社会保障協定に基づく連邦年金申請 日本年金機構-協定相手国別の注意事項(アメリカ) 日本年金機構-アメリカの年金を日本国内で請求したいのですが、何を提出すればよいですか。 日本年金機構-日・アメリカ社会保障協定 申請書一覧(年金請求手続き)
アメリカの年金を日本で受け取る権利があっても、受給中や手続きにおいて気をつけなければならないポイントがいくつか存在します。
ここでは、アメリカの年金を受給する際の注意点を解説します。
就労による支給停止のリスクがある
アメリカの年金を受け取りながら働く場合、ご自身の年齢や働き方によっては、年金額が減らされたり、全く受け取れなくなったりするリスクがあります。
満額受給開始年齢(FRA)に達する前に年金をもらいながら働いた場合、年間の収入額が一定の基準を超えると、超過した金額に応じて年金が減額されてしまいます。 さらに注意すべき点として、FRAに達していない人がアメリカ国外で月に45時間を超えて働いた場合、年金が全額支給停止となってしまう原則があります。そのため、早期受給を希望する際は、働き方と年金の関係を事前によく確認することが重要です。
確定申告等の税務手続きが必要
アメリカの年金を受け取ると、それは一つの「所得」とみなされるため、日米双方の税務上のルールに従って適切な申告を行う必要があります。
日米租税条約の取り決めにより、日本に住んでいる方がアメリカの年金を受け取る場合、アメリカ側では非課税扱いになるものの、日本国内では課税対象として扱われます。そのため、受給した翌年には日本の税務署での確定申告が求められるケースがあるため、確定申告の要否を必ず確認しましょう。
参照元: アメリカ社会保障局(Social Security Administration、SSA)-Retirement Benefits 日本年金機構-米国年金申請|対象者別・必要書類早見表 在ロサンゼルス日本国総領事館-米国 Social Security Administration (SSA) による日本の厚生年金保険等に係る米国社会保障年金制度の減額措置(WEP)の廃止について
アメリカで働いた期間がある人は、アメリカの年金制度で最低限のクレジット(1年6ヶ月以上)を満たしていれば、日米の加入期間を通算することで、日本帰国後もアメリカの年金を受給できる可能性があります。 受け取れる金額は生涯収入や受給開始年齢によって大きく変動し、日本国内の年金事務所や年金相談センター窓口から申請手続きが可能です。
ただし、早期受給中の働き方によっては年金が支給停止になるリスクや、日本での税務申告が必要になる点など、注意すべき点もあります。 ご自身の状況に照らし合わせ、適切なタイミングでアメリカの年金の申請を行えるよう、前もって準備を進めておきましょう。
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